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プロの研修講師、インストラクターを育成する人財開発支援協会

 ベテラン研修講師の独り言

<その8>研修にも流行り廃りはある

 

 階層別研修以外にもスポットで行うテーマ別研修もある。このような研修には自分の得意を活かすことができる。ただ、これはその時々によって流行り廃りがある。研修テーマにも流行り廃りはあるのだ。

 

 ひところコーチングが一世を風靡した。最近は下火になってきたが、これ以外にもファシリテーションなどが流行った。もっと以前にはプレゼンテーションやロジカルシンキングなども流行った。

 

 コーチングがブームの頃、知り合いのコーチング講師はそれこそ毎日研修のために全国を走り回っていた。日々コーチング研修に追われていた。毎日が忙しすぎてもっと暇な時間がほしい、と贅沢な悩みを漏らしていた。ところがブームとなればコーチングを行う講師もだんだん増えてくる。あれだけ忙しく駆け回っていたのに、だんだん余裕がでてきた。気がつくとかなり暇ができてきた。

 

 自分の得意テーマが流行になれば仕事も忙しくなる。しかしブームが去ってしまうと仕事もあまりこなくなり暇になってしまう。だが流行ばかり追いかけるのもお勧めできない。一つのテーマが流行りそうな時は自分もそのセミナーを受講し、自分のものとしてしまえばよいのだが、何が流行るか見極めるのはなかなか難しい。

 

 だからいたずらに流行を追いかけるのではなく、自分の得意領域からだんだん広げていくほうがよい。たとえばコミュニケーションが得意なら、プレゼンテーションや交渉力といったテーマに広げていく。ロジカルシンキングからロジカルプレゼンテーション、ロジカルライティングなどに広げていく。まったく初めてのものを学ぶのは時間もかかるし、ましてそれを人に教えるにはかなり習熟しなければならない。また、初めてでも自分の興味のあるものは比較的早く身に着くが、興味のないものを無理に学んでもなかなか身につかないし、教えたところで迫力がでない。 <

 

 食える研修講師になるには、一つのテーマを深く掘り下げるよりも、いろいろなテーマに関心をもったほうがよい。もちろん受講者以上に知らなければ研修はできないが、大学の研究者ほどの知識はなくてもよい。人に教えるには教える内容の3倍以上は知らなければならない、とはよく言われるがだからといって10倍も20倍も知らなくても研修講師は務まる。

 

 研修というのは講師の知識をひけらかす場ではない。だれも知らないような理論であれば学会で発表すればよい。研修講師の役割は理論を実践の場で使えるようにすること、そして受講者をその気にさせることである。学術的な理論を受講者が自分のものとして使えるようにしてあげるのが講師の役割だ。

 

 だから研修領域を広げるに際しても、それを受講者はどのように生かすのかを徹底して考え抜くことだ。仕事をしていてこのようなことありませんか?その時は今回学んだこのやり方をこのように使えばいいのですよ。というように示唆できなければならない。

 

 これができて初めて研修内容が受講者の中に落ちるのである。この理論、このやり方が今の流行だからといっても受講者の中には落ちない。そんなことは受講者にとっては関係のないことである。だからこそ研修講師は常にどうしたら受講者の中にこの研修内容が落ちるのかを常に考えねばならないのである。

 

 一般社団法人 人財開発支援協会では、食えるプロの研修講師を目指す方々へ「研修講師育成講座」を開講しています。修了後のフォローアップも万全です。


 次回は、プロの研修講師としてのやりがい、「でもやっぱり楽しい研修講師」をお話しします。


© 2014 Toshiharu Amemiya

 


 

執筆者:雨宮 利春

 

(一社)人財開発支援協会 代表理事

 

1977年 青山学院大学経済学部卒 商社にて営業本部マネージャー等を歴任後、1989年 経営コンサルタント・研修インストラクターとして独立。 現在 コミュニケーション、対人折衝、クレーム対応、プレゼンテーション、リーダーシップ゚等の 技術指導で組織の人材開発を支援、各種企業団体等の教育研修事業・講演・ コンサルティング、 執筆等で活躍中。
2010年 一般社団法人 人財開発支援協会を設立、代表理事に就任。「研修講師育成講座」を開催するなど、後進の育成にも尽力している。
中小企業大学講師、一級販売士、産業カウンセラー
主要著書:「あいさつ上手になる本」、「パソコンプレゼンテーション入門」、「顧客を動かす『話す』 技術『聞く』技術」、「絶妙な『断り方』の技術」 、「絶妙な『クレーム対応』の技術」 、「だから、あなたの会社の『クレーム対応』は失敗する」他多数



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