<その7>得意分野などたかが知れている
研修講師には皆得意分野がある。マーケティングが得意な人、財務が得意な人、リーダーシップが得意な人、コミュニケーションが得意な人、営業が得意な人等々。ただし研修講師として食べていくには、自分の得意分野にばかりこだわっているわけにはいかない。いくら私はリーダーシップが得意ですといっても、リーダーシップの研修以来が湯水のごとくくるわけはない。
あなたがリーダーシップに関する本を5、6冊も書いていれば別だが、ただ今までリーダーシップ研修を行ったことがあるからといって、それだけで仕事がくるほど甘くはない。研修講師として独立してやっていくのであれば、得意分野にばかりこだわらずなんでもできなければならない。
リーダーシップ以外は私の専門ではないので、と断ってばかりいたらたちまち干上がってしまうだろう。第一あなたがリーダーシップが得意だといっても、大学にはリーダーシップを専門に研究している人が大勢いる。本当にリーダーシップの講義を聴きたいのであればこのような専門家に依頼すれば事足りる。
自分ではいくら得意だと言っても大学の研究者にはかなわない。世間は大学の研究者を専門家と見るだろう。だから研修講師として食べていくには、得意分野は持つべきだがそれにばかりこだわってはいられない。財務が得意であっても、新入社員研修もできなければならない。マーケティングが得意であってもOJT研修もできなければならない。
自分の守備範囲を広く持つことによって、多くの仕事をこなすことができる。私はマナーが専門ですなんて言っていたら、4月の新入社員研修は忙しいかもしれない、あとは暇を持て余してしまうことになるだろう。だから研修講師と食べていくためにはまず階層教育ができなければならない。新入社員研修・中堅社員研修・監督者研修・管理者研修ができるようになるとよい。
ただし、これらすべてができなくても、年齢が若ければ新入社員・中堅社員研修ができればよい。あまり若いと監督者や管理者研修の依頼は来ないからである。だから中堅社員研修などで腕を磨きながら、監督者・管理者研修のスキルを身に着けていけばよい。
階層別研修はいつの時代にも必ず行われる。研修としてのニーズは高い。しかも2日、3日かけて行われることが多い。だから講師としての生活を安定させるためにも、階層別教育はできるようにしたい。末永く研修講師としての仕事がしたければ、階層別教育は欠かせない。
しかし、自分の専門は中堅社員研修です、管理者研修ですというわけにはいかない。階層別研修はどちらかというと総花的に広く浅く学ぶことが多い。2日間の研修でコミュニケーション・リーダーシップ・チームワーク・問題解決等などを学ぶ。だからこの中でも私はリーダーシップが得意です専門ですと言えるようになりたい。
もちろん自分の得意分野が階層別研修に馴染まない人もいるだろう。自分の得意はクレーム対応、マーケティング、財務、リスク管理、生産管理などという人もいるだろう。このような人も、階層別研修もできるようにしたうえで、そこに自分の得意なテーマを入れるよう提案することにより、他の講師との差別化も可能になるだろう。
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次回は、プロの研修講師として幅広くコンスタントに仕事をしていくために必要な知識、「研修にも流行り廃りはある」です。
© 2014 Toshiharu Amemiya |