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プロの研修講師、インストラクターを育成する人財開発支援協会

 プロの研修講師への道

<その5>事前準備とプログラムの立て方

 

初めてのテーマで講演を依頼されたら、まずプログラム設計から始めなければなりません。また以前やったことがあるテーマでも、講演時間、受講者の業種、階層・レベル、人数などに合わせて設計し直す必要があります。
 

前にも述べましたが、受講者が1日講義を聴いても、研修を受けてもあとで覚えているのはせいぜい三つくらいです。
半日〜1日程度の講演・研修でしたら、どうしても伝えたいこと、キーポイントを3〜5項目選びましょう。それを箇条書きにしてみます。大項目を3〜5項目、それをさらに3〜5項目の中項目に分けてみます。そして、自分用に小項目を立てます。
これをストーリーの流れ、話の順番などを推敲し、大項目ごとに時間配分を考えます。3時間の予定でしたら2時間半、1時間半の講演でしたら1時間程度と話す内容を盛りだくさんにせずに少なめにするのがコツです。
 

経験の少ない人は、時間が余ってしまったらどうしようかという恐怖心を持ちます。でも実際に講義をすると予定通り時間内には収まらないものです。時間を延長したり、最後の大切な部分をはしょってしまったりしたら、最低の研修になってしまいます。 「3時間も話すんですか」と心配していた経験の浅い講師が時間が足りなくなるといったケースに何回も遭遇しています。
 

時間が足りなくなったら対処するのは大変ですが、時間が余りそうな場合の対応はラクです。一つは、ゆっくり話す。そして話題の”抽きだし”をたくさん持っていれば事例やたとえ話を加えて、よりわかりやすく説明することができます。ただし、本題と関係の薄い話に脱線した場合は、どんなにウけていても5分以内に本題に戻ってください。
 

時間の管理は、大項目ごとに予定時間を計画し、項目ごとに管理すれば、途中でいくらでも調節できます。いつでも取り出せるエピソード、事例、例え話など話の小抽きだしを持つことが大切です。
それでも時間が余ってしまったら質問を募って、質問が出なければ、「皆さんからのご質問を十分お受けしようと思って、時間に余裕をとっていたのですが」とか言って、さっさと終了してしまいしょう。ただし、1日を何人かの講師で分担する場合、あまり早く終わっては次の講師がまだ来てないという場合もありますので、そういうときは持ち時間を守る必要があります。
 

プログラムの書き方は、とくに一般公募のセミナーなどでは重要です。読んで話の内容がわかってしまうような書き方では、ネタが割れてしまいますし、だからと言って、何を教えて貰えるのかわからない抽象的な書き方や紋切り型のレジメでは、受講者の期待とミスマッチを起こし、結果不評のセミナーになってしまう恐れがあります。私は余り好きではありませんが、「○○法」とか適当に作って、何だろうと思わせて受講者の興味を引く方法もあります。 「○○の3つのポイント」などという書き方が好きな講師もいます。
今は、ネットにセミナー、研修の宣伝が山盛りですので、それらも参考にするのがよいと思います。

 

また、講義、研修はプログラム通りに進めてください。そして、時々プログラムの何処をやっているか伝えます。受講者のレベルも様々ですので、ついてこられない方もいらっしゃいます。

 

タイトル、演題の決め方はもっと難しいですが、社内研修などの場合は、「プレゼン研修」とか「ファシリテーション研修」などストレートに決めてしまう場合もあります。
公募のセミナーなどは、タイトルの付け方一つで集客に大きく影響されますので主催者とよく打ち合わせをする必要があります。週刊誌のように話す内容以上にセンセーショナルなタイトルを主催者に付けられてしまうことがありますので、必ず事前に打ち合わせと確認が必要です。
できればタイトルは簡潔に、サブタイトルで補足説明するというのがよいと思います。いずれにしても流行の言葉やキャッチーなワードというものがありますので、研究が必要です。
前にも述べたように、一般公募セミナーでは、どんなに良い講義でも受講者の集まらない講師より受講者の集まる講師の方が良い講師です。良いテーマとプログラムで大入りになれば必ずやリピートがあるはずです。
 

次に、テキストを作成します。話の順に沿って作りましょう。よく、講義の時にあちこちのページに飛んで説明する人がいますが、受講者には不評です。セミナー終了後に復習したり、企業によっては受講者が講師になって、受講してきた内容を社内研修するようなところもあります。そこまで、考えて編集してください。 また、テキストとは別に、予定時間やここではこういうエピソードを挿入するとかメモした自分用の台本を用意しておくと便利です。そして、初めての方は1回声に出して話してみる練習をおすすめします。意外と頭の中で考えていたのとは、わかりやすさや時間配分が違うことに気づくことがあります。

 

最後にパワーポイントのスライドを作ります。何度も言いますが、パワーポイントのスライドをプリントアウトして配付資料にするというのはプロのやることではありません。

これもスライドがあちこちに飛んだり、前に戻ったりしないように、講義に合わせて見せる順に作りましょう。戻ったり、飛んだりしないためには同じスライドを何枚も挿入する必要があるかもしれません。だから、スライドをプリントアウトしてテキストにするのは良くないのです。
テキスト、パワーポイントスライドの作り方、見せ方」につきましては、次回により詳しくお話しします。
 

一般社団法人 人財開発支援協会では、食えるプロの研修講師になりたい人のために「研修講師育成講座」を開講しています。プロの研修講師の仕事の始め方からから準備の仕方、講義の進め方など、実習を含めてマンツーマンでお教えしていますので、研修講師になりたい方、自分の講義をさらにブラッシュアップしたい方におすすめです。


© 2011 Ryuji Fukuda


 


執筆者:福田 隆二

 

セミナー主催会社を30年余り経営。 現在、CS研究フォーラム自動車産業研究フォーラムを自ら主宰するとともに、 東京大学大学院経済研究科 経営教育研究センター特任研究員として「ものづくり寄席」などを開催、東京大学グローバルCOEプログラムものづくり経営研究センターで「ものづくりインストラクター養成スクール」、法政大学ビジネススクール企業家養成コース「ワークショップ事務局」コーディネーター等も歴任。企業法務・コンプライアンスの研究会「ビジネス法務アカデミー」企画担当など研修・知的イベントのプロデューサー、コーディネーターとして幅広く活躍中。

35年を超える研修主催者としての経験による独自の視点から、目から鱗の情報を「研修講師育成講座」で提供している。

 


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