<その2>独立研修講師のビジネスモデル
もしも、あなたが現役サラリーマンで、研修講師として独立し、同じ収入を得ようとしたら現在の手取給与の3倍は稼がなければなりません。
独立自営をすると、今まで会社で負担をしてもらっていた交通費、通信費、調査研究費、事務用品費、事務机占有による事務所経費、あるいはアシスタントの諸経費、さらには社会保険料全額(サラリーマンは半額会社が負担しています。)がすべてあなた個人の支出となります。もちろん地方税は1年遅れで請求されますから独立後1年間は無収入でも支払わなくてはいけません。
こうした厳しい経済環境の中、いきなり事務所を構えたり、設備投資したりする方がいらっしゃいますが、愚の骨頂です。一等地に事務所を借りて電話番の従業員まで雇い、退職金を使い果たして1年持たずに撤退した人を知っています。
研修講師はサービス業なので経費はできる限りかけないでください。
当初必要なものは、名刺、携帯電話、パソコン(ノートPC)、ファクシミリ、プリンター、こぎれいなスーツ、講義に使う小物(ポインターなど)程度でしょうか。
事務所は自宅で充分です。賃貸でお住まいの方は、事務所兼用にすると光熱費を含め家賃の一部を経費として計上することができ、節税効果もあります。
ただし、とくに女性講師・インストラクターの場合は、自宅住所を曝すことはセキュリティ上、注意が必要です。その場合は知り合いの会社などに居候する必要もあるかもしれませんが、今はほとんどメール、携帯電話で用が足りますのでそれほど迷惑はかけないと思います。
いずれにしても、初期投資、ランニングコストはできる限り押さえるのが常道です。
それよりも一人になると情報収集に不自由しますので、できる限り他のセミナーに出席するなど、そちらに投資してください。どんどん仕事をするようになれば、主催者からの話や受講者からの質問が格好の情報源になりれますが、それまでの辛抱です。その他、セミナー・研修のポータルサイトでどのようなテーマが多く開催されているか調べるのもお役に立つと思います。
自営業としてやっていくか、法人組織にするかは諸条件により異なりますが、法人化するには10万単位のお金がかかりますし、経理処理も大変です。さらにヤクザのみかじめ料のように赤字でも地方税の均等割として毎年7万円収めなければなりません。ですから当面は自営で屋号を付けて営業されるのがよいと思います。
詳しいことは、研修講師育成講座一期生の公認会計士畑中数正さんが、創業、起業を目指す方のためにGBセミナーを主催して開催していますので、ご参考にしてください。
現在は、大企業や公的機関との取引でも、株式会社である必要がないところがほとんどです。また、連絡先が携帯電話でもOKの世の中になりました。ただしメールアドレスは必須です。できればYahooやGoogleのフリーメールではなく、前項で述べたホームページともども独自ドメインをお取りになりことをおすすめします。レンタルサーバー、独自ドメイン取得ともそれほど高いものではありません。
研修講師の収入は、講演料が主体となりますが、最大でも時間単価×講演時間が限界です。遠方での研修の場合は3時間程度の講演でも前泊が必要だったり、2日とられてしまうことがあります。もちろん、交通費、宿泊費は請求できますが、月に10日程度講演があれば相当売れている方だと思います。
講演料はお車代程度から、1回3万円〜50万円以上まで様々です。
一般社団法人 人財開発支援協会では、食えるプロの研修講師になりたい人のために「研修講師育成講座」を開講しています。独立支援、情報提供など修了後のフォローアップも充実していますので、おすすめです。
次回は、「リピートされる講師、されない講師」についてお話しします。
© 2011 Ryuji Fukuda
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