<その5>研修講師のイメージ
職業を尋ねられ研修講師として社員教育を行っていますと答えると、あ〜、大声を張り上げ挨拶の練習などをさせるのですね、とほとんどの人が言う。どうやら研修講師というと一般的にはこのようなイメージがあるようだ。
根性論・精神論をまくしたて大声で受講生を叱咤激励する。○○の特訓、△△訓練という名目で泊まり込み合宿を行う。マスコミもこのような研修は取り上げやすくインパクトもあるため、テレビなどでもよく取り上げられる。朝のマラソンから始まり、大声で社歌を歌い、OKが出るまで挨拶の練習をしたりする。または怖い女性マナー講師がビシビシと若い人を叱咤する。有無を言わさず厳しい口調で指導するその迫力に受講生はタジタジとなる。おなじみの光景だ。
ただし、今は根性論・精神論ばかり振りかざしても受講生は鼻しらむだけ。確かに昔はこの手の研修も多かったが、最近はほとんど聞かれない。むしろマスコミで紹介されると、まだあんな研修やっているのかと、却って企業イメージが悪くなってしまうこともある。でも研修講師というとこの手の研修をする人をイメージする人はまだまだ多い。
実際に研修を受けたことのある人は、その時の自分が受けた研修の講師が、講師のイメージなってしまう。怖い講師に当たった人は研修講師は怖い人というイメージをもつ。尊大な講師に当たった人は、講師に対して尊大なイメージをもつ。講義のつまらない講師には、つならない話をする人というイメージをもつ。だから研修講師のイメージといっても人によってまちまちである。
たまたま自分の受けた研修の講師が面白い人だったりすると、面白い人というイメージももたれる。ただ残念ながらあまり面白いとイメージを持っている人は少ない。義務感から研修に参加して、たんたんとした講義に終了時間までつき合わされたという経験を持つ人が多い。特に講義一辺倒の研修ではひたすら終了時間まで耐えたという人もいるだろう。
研修後、わざわざ感想を言いに来てくれる人がいる。
「わたしは正直研修に来るのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。また、一日退屈な話をきかされるのかと思うと気が重くなりました。でも、今回の研修はおもしろくてあっという間に一日過ぎてしまいました」
「こんな研修ならまた受けてみたいと思いました」
「今まで受けた研修の中で一番楽しかった」
「こういう役に立つ実践的な研修をいつもやってほしいです」等など。
実際このように言われることが多い。私の自慢話のように聞こえるが、これは私の前にやった講師がいかにつまらない研修を行ったかということである。このような感想をよく聞かされるということは、多くの人がつまらない経験をしているということであり、今回の研修講師も同じだろうと考えているということである。
だから自分では研修講師は知的でかっこいい人というイメージをもっていても、世間の見る目は違うということを理解しなければならない。
一般社団法人 人財開発支援協会では、職業として研修講師を目指す方々へ「研修講師育成講座」を開講しています。経験の浅い研修講師・インストラクターの方のブラッシュアップとしてもお役に立ちます。
次回は、プロの研修講師の心構え、「研修講師は「まった!」なし」です。
© 2014 Toshiharu Amemiya |