プロの研修講師を育成、支援する

プロの研修講師、インストラクターを育成する人財開発支援協会

 ベテラン研修講師の独り言

<その1>食えないアマチュアのベテラン講師

 

 社内で何年も何十年も講師を行っているとそれなりの自信もつく。研修というものもわかってくるし、大勢の研修講師も見ているので、講師業に対するそれなりの考え方やこだわりもできる。自分よりも下手な外部講師などを見ると、教えてやろうかと思ったりもする。


 あの程度で外部講師として仕事ができるなら、自分だったらもっと売れるはず。独立には一抹の不安はあるものの、いざとなったら前の会社でやってやれば一応仕事は確保できる。今まで頭を下げて営業にきていた研修会社に講師として使ってもらおう。そして独立・・・。

 

 研修会社のおかげで何回か登壇する機会をもらったがリピートにつながらない。そのうち仕事もだんだん尻すぼみになってきた。研修会社に催促しても体よくあしらわれてしまう。ならばと前の会社に営業に行く。担当者は後輩だから仕事はよこすだろう。ところが今年は予算が削られてしまい外部講師を使う余裕がないと断られてしまう。


 折角独立しても月に一本や二本の仕事ではとても食べていくことはでいない。なんで仕事がこないのか?自分より下手なのになぜ独立講師として活躍できるのか?背に腹は代えられない。研修会社にいくらでもいいから使ってくれと頼みこむ。もちろん収入は会社勤めの頃の方がずっとよかった。こんなことなら独立などしなければよかった・・・。

 

 私の知り合いの講師の実際の体験談である。確かに彼の社内での研修講師としてのキャリアは長い。最後は研修部長まで務めた。ただし、自社の社員に対して行う研修と、よその会社や団体に出向いて行う研修ではまったく違う。似て非なるものと心得た方がよい。社内講師を長く務めていると、受講者は自分の部下や後輩が多くなる。そのため研修講師ではあるが、受講者から見れば上司・先輩にあたる。だから納得いかなくとも素直に従うしかない。どんなにつまらなくとも研修部長の講義につまらないとは言えない。

 

 外部講師として他社に赴く場合は、それこそ単身敵地に乗り込むようなもの。現場のことを知りもしない外部の人間が来てなにを言うかというのが受講者の本音。受講者の講師に対する見方が最初から違う。納得いかなければ露骨に反発したりふてくされたりする。つまらなければ堂々と寝入る者もいる。これが当たり前だと思った方がよい。ところが社内講師として経験やプライドを持った人ほど面食らってしまう。そして自分は棚に上げて研修が盛り上がらないのを受講者のせいにしてしまう。受講態度が悪い、レベルが低い、ガラが悪い等など。中には先方の研修担当者に文句を言う人までいる。

 これではリピートなどくるわけがない。受講者に媚びる必要はないけれども、プロの講師は臨機応変に対応できなければならないのだ。社内講師はこの辺の経験が少ないためどう対応してよいかわからなくなってしまう。

 

 自社の社員は他社に比べると同質性は高い。だからだいたいいつも同じような雰囲気で研修ができる。ところが独立講師は毎回違う社風で異なる価値観・考え方の人を、異なる雰囲気のなかで教えていかなければならない。

 

 教えにくい受講者などと言っているようでは、まだまだアマチュアである。


 一般社団法人 人財開発支援協会では、食えるプロの研修講師になりたい人のために「研修講師育成講座」を開講しています。人脈構築など修了後のフォローアップも充実していますので、おすすめです。


 次回は、私が座右の銘にしている「先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし」 のお話です。

© 2014 Toshiharu Amemiya

 


 

執筆者:雨宮 利春

 

(一社)人財開発支援協会 代表理事

 

1977年 青山学院大学経済学部卒 商社にて営業本部マネージャー等を歴任後、1989年 経営コンサルタント・研修インストラクターとして独立。 現在 コミュニケーション、対人折衝、クレーム対応、プレゼンテーション、リーダーシップ゚等の 技術指導で組織の人材開発を支援、各種企業団体等の教育研修事業・講演・ コンサルティング、 執筆等で活躍中。
2010年 一般社団法人 人財開発支援協会を設立、代表理事に就任。「研修講師育成講座」を開催するなど、後進の育成にも尽力している。
中小企業大学講師、一級販売士、産業カウンセラー
主要著書:「あいさつ上手になる本」、「パソコンプレゼンテーション入門」、「顧客を動かす『話す』 技術『聞く』技術」、「絶妙な『断り方』の技術」 、「絶妙な『クレーム対応』の技術」 、「だから、あなたの会社の『クレーム対応』は失敗する」他多数



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